学術的な知識と能力、専門性の深化

末吉秀二グローバル化の進展は、社会・経済開発を促す一方、経済格差や貧困、紛争、環境、健康問題など国際社会が解決すべき新たな課題を生じさせています。そして、国際協力の必要性の認識とともに国際協力に求められる領域がますます拡大しています。

本研究科は、人間の安全保障と人間開発の理念に立脚しながら、国際社会の多様な課題に対して柔軟に対応できる学術的な知識と能力を有する人材の育成を目指し、平成18年に開設されました。また、平成21年度からは九州保健福祉大学との連合大学院となり、これまで看護、社会福祉、環境、社会開発、動物看護など様々な専門分野をバックグランドとする社会人や学卒者を幅広く受け入れてきました。

一人ひとりの問題意識を出発点に、個別指導とスクーリングできめ細かく学修をサポートします。

連合国際協力研究科長 末吉 秀二

 

教育目標

本研究科では,人間中心の開発の観点から,国際社会における多様な課題に対して,自らの専門性をもとに,柔軟に対応できる知識・能力を有する人材の育成を目的として,主に社会人の専門教育を行う。
国際協力分野において求められている人材は,必要とされる専門的知識,技術の他に,語学力に十分裏付けられたコミュニケーション能力,調整能力,事後評価能力に加えて,異文化社会において自ら活動し得る精神的な強靭さと豊かな人間性が不可欠である。そのため,本研究科では,本学と連携する国際機関,政府ないし地方自治体及びその機関,NGO等においてインターンシップの機会を提供することにより,現場における課題に柔軟,迅速に対応し得る思考力と洞察力を涵養するための実践的な修士課程教育を実施する。

 

研究科の特色

連合大学院について

本研究科は、2009年4月から、系列の九州保健福祉大学との連合により、研究・教育体制のさらなる充実や、多様な研究領域における指導体制の強化を図ることを目的に指導体制 の再編を行い、新たに連合研究科として人材育成に取り組んでおります。 これにより、多岐にわたる国際協力分野の研究指導領域が拡充し、入学希望の皆様のニーズに対応しています。

スクーリングは東京会場をメインに開催

必修科目のスクーリング(国際協力総論・特別研究)を東京会場(キャンパス・イノベーションセンター:港区芝浦3-3-6)で受講できます。
※スクーリング会場は、今後の社会情勢等により変更になる場合があります。2021年の夏期スクーリングは、岡山会場にて実施予定です。

国際協力経験者の入学金免除

入学金免除は、本学入学前に以下の項目に該当する方が対象となります。

  1. 国際協力機構(JICA)の行う青年海外協力隊(JOCV)の派遣事業に参加し、2年以上の国際協力の経験を有する方(証明書が必要)
  2. 特定非営利活動法人(AMDA)が国際協力の経験を有すると認めた方(推薦状が必要)
  3. 自衛隊に所属し、国際協力活動を行った経験が証明できる方(証明書が必要)

詳しくは、通信教育事務課(TEL.0866-22-9191)までお問い合わせください。

※出願時に証明書等の提出がない場合は免除できませんので、ご注意ください。

海外勤務中でも学べる学修システム

自宅学修や研究は、担当教員とメールやハングアウト、Skypeで密にやりとりを行い進めていきます。また、作成した課題レポートは、Web学修支援システムから提出することが可能です。
※夏期と冬期のスクーリングに合わせて、スケジュール調整が必要になります。

 

様々な国際協力分野で活躍する修了生

藤山 修 さん 2012年度修了〔国際協力機構(JICA) 専門家 在ミャンマー〕

私は青年海外協力隊へ参加した後、国際協力の世界で専門性を持ち、仕事を続けていきたいと考えておりました。特に農業開発におけるビジネスの視点について、協力隊での活動を含めて私の経験を整理してみたいと希望して本研究科へ入学しました。
私の場合は仕事の中で研究に必要なデータを集めることはできる環境にありました。しかし、テーマを絞る、データを分析する、論理的な文章に取りまとめるという研究活動と両立させるには、計画性と持続性が厳しく求められました。先生方や様々な年齢の仲間の励ましもあり、この「いばらの道」を乗り越えることができたのではと考えています。
修了後はJICAの専門家として途上国における現場の仕事に携わっています。地域と農業の切り口から、人つくりに貢献できるようにと、引き続き模索し続ける日々です。

 

仲村 秀一朗 さん 2013年度修了〔国連開発計画(UNDP)職員 在マラウイ〕

子供の頃から英語が好きで、大学も地元沖縄県の英語を専門とする大学に進みました。その後米軍基地の消防士となりましたが、もっと国際的に人のためになるような職に就きたいと考えるようになり、国際機関での就職を目指すべく連合国際協力研究科に進みました。
仕事と学業を両立させるのに最初は苦労しましたが、先生方のご指導に加え、通信教育事務課の方々の手厚いサポート、そしてなにより自分がこれまで知らなかった事(特に国際協力について)を学べるという学問の楽しさを日々感じ、あっという間に2年間が過ぎました。
お陰様で現在はJPOとして国連開発計画(UNDP)マラウイ事務所にて勤務しています。連合国際協力研究科で深めた専門性と現場での経験を融合させ、さらに世のため、人のために働こうと思います。

 

岡村 礼子 さん 2014年度修了〔NPO活動 於ルワンダ〕

1980年代、タイの難民キャンプでのボランティアから始まり、国際協力に興味を持ち活動してきました。その際、多くの疑問を持ち、解決方法を手探りする中、一から勉強することを考え、「連合国際協力研究科」に入学しました。
3ヶ月ごとの課題提出、仕事や家庭と両立させながらの研究対象地への渡航など、苦労はありましたが、修士課程が2年で修了のところ、長期履修制度を利用して3年をかけて基礎から学ぶことができました。また、論文を書き、修了できたのは、偏にご指導いただいた指導教授、研究科の先生方のおかげです。
修了後も、NPOで研究発表を行うなど、最近では、ルワンダの最貧地域で「衛生教育プロジェクト」を続けています。今後も国内外を問わず、「連合国際協力研究科」で得た知識を現場に繋げることを考えていきます。

 

城山 光子さん 2014年度修了〔大学教員〕

私は学部生時代に開発途上国の感染症対策に関する研究を行っていました。大学卒業後は一般企業に就職しましたが、再び研究を行いたいと考え、連合国際協力研究科に入学しました。
仕事と研究の両立は困難の連続でしたが、平日も出勤前や帰宅後に時間を見つけては先行研究を読み、データを分析し、修士論文を1行でも書き進めるなど、研究の時間を毎日確保するようにしました。それができたのは指導教官をはじめ研究科の先生方が、時に厳しくも丁寧に指導してくださったおかげです。
修了後は博士課程に進学し、博士の学位を頂戴することができました。現在は他の大学で教員となり、教育・研究に取り組んでいます。連合国際協力研究科で受けた薫陶を胸に、SDGsのGoal 3「全ての人に健康と福祉を」の達成に寄与できるよう研究を続け、さらに、国際協力の人材を育成していきたいと考えています。

 

3つのポリシー

学位授与方針(ディプロマポリシー) 国際協力の分野において必要とされる開発理論や戦略,専門的基礎知識を修得するとともに,国際協力の専門家として,それら修得した知識を実践の場で対応できる能力を備えた人に修士(国際協力学)の学位を授与します。
教育課程の編成・実施方針(カリキュラムポリシー) 国際協力に求められる幅広い知識を養うため,カリキュラムには学際的な専門基礎に係る科目,および国際協力の理論・戦略に係る科目等を配置し,さらに実証的な研究能力を培うため,個々の専門性や経験,問題意識をもとに設定した課題について懇切丁寧な指導を行います。また,地域研究を目的に,国内および国外において実施するインターシップを用意しています。
学生の受け入れ方針(アドミッション・ポリシー) 自らの専門性をもとに,グローバル社会が直面している多様な課題を解決するための国際協力分野の専門家を志す人です。

 

教員一覧

職名 教員氏名 専門・研究分野
研究科長/教授 末吉 秀二(すえよし しゅうじ) 人口学、国際保健学、人類生態学、アラブ社会におけるマイクロデモグラフィ研究
教授 秋葉 敏夫(あきば としお) 血液由来感染症、途上国の保健医療分野における人材養成
教授 鈴木 剛史(すずき たかし) 国際関係学(東南アジア、難民問題等)、国際協力における組織マネジメント、チームワーク&リーダーシップ理論
教授 松葉 隆司(まつば たかし) 微生物学、人獣共通感染症、感染微生物の宿主における生残機構
准教授 大下 浩司(おおした こうじ) 環境分析科学、文化財分析科学、環境および文化財分野における分析化学的研究
客員教授 坂山 英治(さかやま えいじ) 開発教育、小学校における国際理解教育・地球市民教育及びESDの実践
客員教授 柳生 文宏(やぎゅう ふみひろ) 国際看護学、母子保健学、国際保健学、感染症、地球保健
兼担准教授 濱島 敦博(はましま あつひろ) 農業経済学、開発経済学、アジア経済論、農産物市場の取引制度に関する研究、アジア地域の経済発展と市場制度の形成に関する研究
兼担准教授 山本 敦之(やまもと あつゆき) 数学史、科学思想史
非常勤講師 乾 直樹(いぬき なおき) 内発的発展論(コミュニティ開発における外部者の役割)、ボランティア論
非常勤講師 小田 淳子(おだ じゅんこ) 環境化学、大気環境学、生活環境学、生活環境および大気環境中の有害化学物質に関する研究
非常勤講師 小谷 真吾(おだに しんご) 生態人類学・環境利用システムと人口動態の関係に関する民族誌的研究
非常勤講師 橋本 由紀子(はしもと ゆきこ) 社会開発、人間開発、途上国のNGOと住民参加、ソーシャルワークビジネス、インドのソーシャルワーク、インドの企業の社会貢献(CSR)研究、エンパワメント
非常勤講師 長谷川 光子(はせがわ みつこ) 寄生虫学・日本における土壌伝播蠕虫感染動向調査

 

カリキュラム

 

授業科目名 授業
形態
配当
年次
単位数 必修
選択
職名 担当者氏名
共通必修 国際協力総論 TS 教授教授

教授

教授

准教授

兼担准教授

客員教授

非常勤講師

秋葉 敏夫末吉 秀二

鈴木 剛史

松葉 隆司

大下 浩司

濱島 敦博

坂山 英治

長谷川 光子

共通選択 国際看護・母子保健学特論 T 1・2 客員教授 柳生 文宏
国際緊急援助論 T 1・2 教授 鈴木 剛史
国際ボランティア特論 T 1・2 非常勤講師 乾 直樹
国際協力特論 T 1・2 非常勤講師 橋本 由紀子
国際保健学特論 T 1・2 教授 秋葉 敏夫
感染症特論 T 1・2 教授 松葉 隆司
地球環境科学特論 T 1・2 非常勤講師 小田 淳子
環境管理学特論 T 1・2 准教授 大下 浩司
循環型社会学特論 T 1・2 非常勤講師 小田 淳子
開発経済学特論 T 1・2 兼担准教授 濱島 敦博
開発教育学特論 T 1・2 客員教授 坂山 英治
人口学特論 T 1・2 教授 末吉 秀二
国際文化特論 T 1・2 非常勤講師 小谷 真吾
地域調査法特論 TS 1・2 教授
兼担准教授
末吉 秀二
山本 敦之
地域研究特論Ⅰ S 1・2 教授 鈴木 剛史
地域研究特論Ⅱ S 1・2 非常勤講師 長谷川 光子
総合科目 特別研究 TS 1~2 教授教授

教授

教授

准教授

秋葉 敏夫※末吉 秀二※

鈴木 剛史

松葉 隆司※

大下 浩司※

T=印刷授業科目 S=面接授業科目 TS=印刷授業と面接授業の複合科目
◎=必修授業科目  ○=選択授業科目 ※=論文指導教員

修了要件

共通必修科目1科目4単位,共通選択科目5科目20単位以上,総合科目1科目6単位,合計30単位以上を修得し,かつ必要な研究指導を受けた上で,当該大学院の行う修士論文の審査及び最終試験に合格すること。

 

 

スクーリング日程・会場

1年次生 2年次生 必修
選択
会場
6月27日(日) 地域研究特論Ⅰ※1 地域研究特論Ⅰ※1 選択 東京:
 キャンパス・イノベーションセンター
岡山:
 吉備国際大学 岡山駅前キャンパス
7月17日(土)
~7月18日(日)
地域調査法特論 地域調査法特論 選択 あわじ:
 吉備国際大学 南あわじ志知キャンパス
8月27日(金)
~8月29日(日)
国際協力総論 特別研究 必修 岡山:
 吉備国際大学 岡山駅前キャンパス
特別研究
9月10日(金)
~9月12日(日)
スクーリング予備日※2 スクーリング予備日※2
1月28日(金)
~1月30日(日)
地域研究特論Ⅰ※1 地域研究特論Ⅰ※1 選択 東京:
 キャンパス・イノベーションセンター
特別研究 特別研究 必修

なお、印刷授業科目の科目修了試験は、冬期スクーリング期間を利用して行う予定です

※1 TV会議システム(双方向)により配信

※2 警報等により開講できなかった場合に振替えでスクーリングを実施する日

 

行事予定表

 

 

入試案内

 

 

 

 

 

出願に際して

出願前に研究指導を希望する教員・研究テーマについて、以下のWEB入学相談から事前相談をお願いいたします。
また、出願資格に疑義のある方も早めにご相談ください。

 

WEB入学相談

連合国際協力研究科では、受験資格、研究テーマ・指導希望教員、学修のすすめ方、スクーリングなど、通信教育を始めるにあたってのご質問に研究科教員が直接お答えいたします。

※相談内容とそれに関わるすべての情報については守秘いたします。安心してご相談ください。
※メールの他、研究科教員とオンラインでの相談(平日)も可能です。

なお、授業や大学休業日等により、ご希望に添えない場合もございますので、予めご了承ください。

相談内容
  • □ 研究テーマ・指導希望教員
  • □ 受験資格
  • □ カリキュラム
  • □ スクーリング
  • □ 研究の進め方
  • □ その他

 

学生募集要項